呼吸リハビリテーションは、それまでの生活習慣や神経難病を主とする様々な病気の影響によって呼吸困難をきたした方々を対象に行われます。実際のリハビリテーションでは、肺や気道の膨らみを持続させる「口すぼめ呼吸」や動作に同調させた呼吸練習、呼吸筋強化のための“息こらえ”から咳をして効果的に排痰する練習、直接的な呼吸の介助等、症状に応じて実施します。特に肺炎予防に重要な”痰を出す”ことについては、『IPV:パーカッションベンチレーター』(加湿しながら肺内に空気を送り込み痰の移動を促し痰の排出に繋げる)や『MI-E:咳嗽補助装置)』(肺に空気を送り込み膨らませることで咳を誘発する)の医療機器を積極的に導入し、より効率的・効果的な呼吸機能の改善に取り組んでいます。
最近は神経難病などに対して、『LICトレーナー』(バッグバルブマスクを用いて肺を膨らませ、『息こらえ』練習ができる機器)を使用した呼吸リハビリテーションに取り組み始めました。これは病状の進行により深呼吸が困難となる進行性の疾患を主な対象とし、肺の中に空気を入れて肺を膨らませることができる画期的な機器となっています。病状の早期から行うことで肺活量を維持し、咳の力などの呼吸機能の維持改善を図るものです。疾患や病態により実施する内容は異なりますが、患者さん個々に合わせてより効率的・効果的な呼吸リハビリテーションの実施に取り組んでいます。