神経難病とは
神経難病とは、脳神経系の病気の中で根治的な治療法が確立されておらず、結果的に発症後、病状が少しずつ進行して、日常生活動作が不自由になっていくような病気を指します。多くの筋ジストロフィーのように成人期以前に発症する病気もあれば、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症のように成人期以降に発症する病気もあります。遺伝性(親から受け継いだ遺伝子の異常が原因)の病気もあれば、非遺伝性の病気もあります。最近では、さまざまな神経難病に対して、根治できなくても進行を遅らせる治療薬(病態修飾薬)が開発され、実用化されています。どの病気に対しても、よりより生活を維持するために早期からのリハビリテーションが大切です。当院では患者さんの病期や症状に合わせて以下の5つのリハビリテーションを組み合わせています。


1.運動機能を維持・改善するためのリハビリテーション
症状の進行を少しでも遅らせるため、年齢、症状、生活習慣を考慮して、その人に合わせた運動療法を実施します。加えて、退院後も運動習慣が定着して運動機能や日常生活活動の維持に繋がるよう、入院中から自分でできる運動を練習します。特にパーキンソン病、脊髄小脳変性症と多系統萎縮症による運動機能の低下にお困りの方には短期間集中型リハビリテーションプログラムがあります。詳しい内容は「パーキンソン病のリハビリテーション(LSVT®BIG・LOUD)」「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症のリハビリテーション」の欄をご覧下さい。
2.呼吸機能や発声機能維持・改善のためのリハビリテーション
病気の進行と共に肺活量など呼吸機能が低下し、声が出しにくくなる、声が小さくなるなどの症状が出ることがあります。当院では、特殊な医療機器を使用して呼吸機能を改善する、口や舌の動きを改善させ発声機能を改善するリハビリテーションにも取り組んでいます。特にパーキンソン病により声の出しにくいことにお困りの方には、短期集中プログラムがあります。詳しい内容は「パーキンソンに特化したリハビリテーション(LSVT®BIG・LOUD)」の欄をご覧下さい。
3.嚥下(飲み込み)機能を維持・改善するためのリハビリテーション
病気の進行と共に、食べ物を飲み込む嚥下機能が低下します。リハビリテーションでは、嚥下機能を維持するための舌や口、飲み込むための筋力の維持・改善練習をはじめ、食事の姿勢や食事の形態(食物の大きさや柔らかさ)を評価し、安全に食事が摂れる為の支援を行います。
4.認知機能を維持・改善するためのリハビリテーション
病気の進行とともに「考えがまとまらない」「忘れやすくなる」等、認知機能が低下することがあります。この症状は目に見える症状とは異なり、ご本人や周囲の方も気付き難いことから、適切な支援を受けられず、生活に支障を来している場合も少なくありません。ご本人の症状に合わせた支援方法を模索すると共に適切なリハビリテーションを検討・実施します。
5.やりたい生活を実現するリハビリテーション
病気が進行しても人ぞれぞれに”その人らしい暮らし”への思いがあります。在宅での自立した生活動作の獲得にとどまらず、他者との交流、外出支援等、希望に添った支援の方法や内容を専門職の観点から検討し、取り組みます。
『指定療養介護事業所のリハビリテーション』の項目も併せてご覧下さい。